$ \DeclareMathOperator{\arccosh}{arccosh} \DeclareMathOperator{\arcsinh}{arcsinh} \DeclareMathOperator{\rank}{rank} \DeclareMathOperator{\rot}{rot} \DeclareMathOperator{\grad}{grad} \DeclareMathOperator{\diver}{div} $

ポテンシャルの存在条件

物理ではよくポテンシャルというものを考えます。
このような物理量を考えることで問題や方程式系が単純化されたり、 物理的イメージを抱くことでより直感的な理解が進んだり、問題がすごく解きやすくなったりするのでポテンシャルというのはとってもとっても偉い子です(謎)。
しかし、どんな場合でもポテンシャルというものが考えられるかというと残念ながらそうではありません。
高校あたりでやるように、通常の、力に対応するポテンシャルというのが定義できるためには、系にかかる力が保存力のみである必要があります。
また、大学初年度あたりで電磁気を習うと出てくる磁場に対するベクトルポテンシャルというのが定義できることは、 実は、磁場の発散が 0 という、磁場に関する Gauss の法則[1]が成り立っているために保証されています[2]
このようにポテンシャルが存在するには、考えているベクトル場に何らかの条件が満たされていなければなりません。
そこで、スカラーおよびベクトルポテンシャルが存在するための必要十分条件を紹介し[3]、それが正しいことを証明していきたいと思います。

[1]ちなみにこれは磁気単極子(maginetic monopole)が存在しない、つまり N 極のみ、もしくは S 極のみをもった磁石が存在しないということの定式化でもあります
[2]ここらへんの詳しい議論はたいていスルーされてしまうんですよね…。物理屋さんは「成り立ってるんだから細かいことはどうでもいいじゃんwww」という発想の人が多いんです
[3]ここでは必要十分条件の「紹介」のみにとどめておきます。つまり、この記事では必要十分条件を天下り的に与えるだけにとどめます

1スカラーポテンシャル

まずは簡単なスカラーポテンシャルの方から。 何かあんまり平易な説明にならなかったorz。 よく分からなかったらゴメンナサイ (>o<)。

1.1定義

本格的に議論に入る前に、まずはスカラーポテンシャルがなんだったのかを思い出してみましょう。
ベクトル場 $\bm{F} = \bm{F}(\bm{r})$ に対して、
\begin{equation} \bm{F} = \grad \varphi \end{equation}
(1)
となるような $\varphi = \varphi(\bm{r})$ が存在するとき、この $\varphi$スカラーポテンシャルあるいは単にポテンシャルというのでした。

1.2必要十分条件

スカラーポテンシャルが存在するための必要十分条件は、
\begin{equation} \rot \bm{F} = 0 \Leftrightarrow \exists \varphi, \bm{F} = \grad \varphi \end{equation}
(2)
で与えられます。

1.3証明

1.3.1

こちらは簡単で、左辺に右辺を代入してあげるだけです。
\begin{align*} \rot \bm{F} & = \rot \left(\grad \varphi\right) \\ & = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial x} \\ \frac{\partial}{\partial y} \\ \frac{\partial}{\partial z} \\ \end{pmatrix} \times \begin{pmatrix} \frac{\partial \varphi}{\partial x} \\ \frac{\partial \varphi}{\partial y} \\ \frac{\partial \varphi}{\partial z} \\ \end{pmatrix} \\ & = \bm{0} \end{align*}
(3)
よって、右辺ならば左辺が言えました。

1.3.2

次にこちらですが、これの証明はポテンシャル $\varphi$ の構成方法(計算方法)を与えることで証明します。
それでどのように $\varphi$ を定義してあげるかというと、例えば重力のポテンシャルというのは、基準点からある点 $\bm{r}$ まで重力に逆らって粒子を移動させたときに粒子になす仕事量と同じだったので、これとのシノニムから、
\begin{equation} \varphi := \int_{C} \bm{F} \cdot d\bm{r} \end{equation}
(4)
と定義すればよいと分かります。 但し線積分の始点は原点とします[1]
ところで右辺の積分ですが、今はスタート地点とゴール地点のみを決めているだけなので一般にはこの積分は経路 $C$ の取り方に依存します。 これでは $\varphi$ は well-defined でなくなってしまいます。 つまり計算の仕方によって違う値になってしまうので、この定義では意味が無くなってしまいます。
しかし今回はベクトル場 $\bm{F}$ に対して回転が 0 であることが仮定されているので、 Stokes の定理から任意の閉経路 $\tilde{C}$ に対して、
\begin{equation} \oint_{\tilde{C} = \partial S} \bm{F} \cdot d\bm{r} = \int_{S} \rot \bm{F} \cdot \bm{S} = 0 \end{equation}
(5)
がいえるので、スタート地点 $a$ とゴール地点 $b$ を結ぶ任意の二つの経路 $C1, C2$ に対して、
\begin{align*} \int_{C_1} \bm{F} \cdot d\bm{r} & = \oint_{C_1-C_2} \bm{F} \cdot d\bm{r} + \int_{C_2} \bm{F} \cdot d\bm{r} \\ & = 0 + \int_{C_2} \bm{F} \cdot d\bm{r} \\ & = \int_{C_2} \bm{F} \cdot d\bm{r} \end{align*}
(6)
となり、途中の経路には依存しないことが示されます。
これは物理的には ある位置から出発して、再びスタート地点に戻ってきた場合、外力 $\bm{F}$ は質点に対して仕事をしない もしくは ある地点 a から出発して異なる地点 b に行くときに、質点は経路に依存しない仕事を受ける ということを意味します。 この性質が保存力という名の所以です。
…と、これで上の定義式(4)式が well-defined であることが示されました。
あとは右辺が成り立つことを示せばいいですね ^^
いま、経路は任意にとっていいので、
\begin{equation} (0, 0, 0) \rightarrow (x, 0, 0) \rightarrow (x, y, 0) \rightarrow (x, y, z) \end{equation}
(7)
という経路を考えます。 この経路に沿って積分をすると、
\begin{equation} \varphi(x, y, z) = \int_0^x F_x(x', 0, 0) dx' + \int_0^y F_y(x, y', 0) dy' + \int_0^z F_z(x, y, z') dz' \end{equation}
(8)
となるので、
\begin{equation} \frac{\partial \varphi}{\partial z} = F_z(x, y, z) \end{equation}
(9)
が言えます。
同様に $\frac{\partial \varphi}{\partial x} = F_x(x, y, z), \frac{\partial \varphi}{\partial y} = F_y(x, y, z)$ についても積分経路をそれぞれ適当にとることで[2]証明が出来るので省略します。
以上で、
\begin{equation} \grad \varphi = \bm{F} \end{equation}
(10)
が言えました。

1.4解の不定性について

さて、上の議論から(4)式で与えた $\varphi$ は確かに(2)式の右辺を満たすものだと言うことが分かりましたが、 これまでの議論だけでは、(4)式の $\varphi$ はあくまで求められているもののうちの一つであって、 他にも(2)式の右辺を満たすものがあるかもしれません。
…というか(4)式の線積分の始点は任意にとれるので、少なくとも始点の取り方の任意性はありますよね?
そこで(4)式で与えられたものとは違う解を調べてみましょう。
まず(4)式で与えられる $\varphi$ の他に、(2)式の右辺を満たすものとして $\varphi'$ がとれたとします。
するとこれらの勾配ベクトルは両方とも $\bm{F}$ になるはずですから、
\begin{equation} \grad \varphi = \grad \varphi' \end{equation}
(11)
\begin{equation} \therefore \grad (\varphi' - \varphi) = \bm{0} \end{equation}
(12)
が成り立ちます。 そこで、
\begin{equation} \Delta \varphi := \varphi' - \varphi \end{equation}
(13)
とおいて、
\begin{equation} \grad \Delta \varphi = \bm{0} \end{equation}
(14)
の一般解を調べてみましょう。
まず、
\begin{equation} \frac{\partial \Delta \varphi}{\partial x} = 0 \end{equation}
(15)
より、$\varphi$ は x を含まないことが分かります。 同様に y, z も含まないことが分かるので、結局 $\varphi$ は、
\begin{equation} \Delta \varphi = (\text{const.}) \end{equation}
(16)
と分かります。
これより、
\begin{equation} \varphi' = \varphi + (\text{const.}) \end{equation}
(17)
なので、$\varphi$ には定数分の不定性があることが分かりました。
これをもう少し物理的に言うと、ポテンシャルエネルギーは基準点の取り方によって定数分だけ上下する ということを表しているので、 まぁ私たちの今までの常識と一致することが分かります。

[1]原点としなくても以下の議論は全て成立しますが、ここでは簡単のため原点としておきます。つーか座標系を平行移動させるだけだしね ('ω')
[2]x については $(0, 0, 0) \rightarrow (0, 0, z) \rightarrow (0, y, z) \rightarrow (x, y, z)$、y については $(0, 0, 0) \rightarrow (0, 0, z) \rightarrow (x, 0, z) \rightarrow (x, y, z)$ とかでしょうか…?(←よく考えていない)

2ベクトルポテンシャル

さて、続いてベクトルポテンシャルの方をやっていきます。
上のスカラーポテンシャルの話はたいていの教科書には書いてあるので、聞いたことあるよ、という人もいたかもしれませんが、 ベクトルポテンシャルの方は載っている教科書を見たことがない人も多いと思います[1]。 難しいからですかね…?

2.1定義

スカラーポテンシャルのときと同じ構成で進めていきましょう。
ベクトル場 $\bm{B}$ に対して、
\begin{equation} \bm{B} = \rot \bm{A} \end{equation}
(18)
というベクトル $\bm{A}$ が存在するとき、この $\bm{A}$ベクトルポテンシャルというのでした。

2.2必要十分条件

ベクトルポテンシャルが存在するための必要十分条件は、冒頭でもチラッと言ったように、
\begin{equation} \diver \bm{B} = 0 \Leftrightarrow \exists \bm{A}, \bm{B} = \rot \bm{A} \end{equation}
(19)
です。

2.3証明

2.3.1

こちら側はとても簡単で、スカラーポテンシャルでの議論と同様、ただ代入するだけです。
\begin{align*} \diver \bm{B} & = \diver (\rot \bm{A}) \\ & = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial x} \\ \frac{\partial}{\partial y} \\ \frac{\partial}{\partial z} \\ \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} \frac{\partial A_z}{\partial y} - \frac{\partial A_y}{\partial z} \\ \frac{\partial A_x}{\partial z} - \frac{\partial A_z}{\partial x} \\ \frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y} \\ \end{pmatrix} \\ & = 0 \end{align*}
(20)
これで右辺ならば左辺であることが言えました。

2.3.2

次に左辺ならば右辺、というのを証明したいのですが、スカラーポテンシャルでの証明と同様、$\bm{A}$ の具体的な構成方法(の一つ)を与え、 それが実際に(19)式を満たしていることを示す、という方針で行きたいと思います。
それでは $\bm{A}$ の構成方法を考えていきたい訳なんですが、その前にちょっとだけ計算を簡単にする工夫をしたいと思います。
ベクトルポテンシャルの不定性
いま、ベクトルポテンシャルは、
\begin{equation} \bm{B} = \rot \bm{A} \end{equation}
(21)
で与えられるので、
\begin{equation} \rot \bm{D} = \bm{0} \end{equation}
(22)
となるようなベクトル $\bm{D}$ を足したベクトル、
\begin{equation} \bm{A}' := \bm{A} + \bm{D} \end{equation}
(23)
も、
\begin{equation} \bm{B} = \rot \bm{A}' \end{equation}
(24)
をみたすので、ベクトルポテンシャルの一つになります。
ところで回転をすると 0 になるベクトル $\bm{D}$ ってどんなのか分かりますか?
そうです、上の方で議論したとおり、
\begin{equation} \bm{D} = \grad f \end{equation}
(25)
とあらわせるようなベクトルは全て回転が 0 で、かつ、回転が 0 になるベクトルは全てこの形であらわされるのでした。
つまり、ベクトルポテンシャルには $\grad f$ の不定性がある、といえます。
さてこの不定性を用いると、$\bm{A}$ に対して適当な $f$ を持ってきて、$\bm{A}'$$z$ 成分が 0 になるように変換することが出来ます。 具体的には、
\begin{equation} f(x, y, z) := \int_0^z A_z(x, y, z') dz' \end{equation}
(26)
とおいてあげれば、
\begin{align*} \bm{D} & = \grad f \\ & = \begin{pmatrix} f_x \\ f_y \\ -A_z(x, y, z) \end{pmatrix} \end{align*}
(27)
となるので[2]$\bm{A}'$ は、
\begin{align*} \bm{A}' & = \bm{A} + \bm{D} \\ & = \begin{pmatrix} A_x' \\ A_y' \\ 0 \end{pmatrix} \end{align*}
(28)
となります[3]
従って、与えられたベクトル場 $\bm{B}$ に対し、
\begin{equation} \bm{A} = \begin{pmatrix} A_x \\ A_y \\ 0 \end{pmatrix} \end{equation}
(29)
という形のベクトルポテンシャルを与える式を発見すればよい、ということが言えます。
ここまでいいでしょうか?[4]
ところでこの変換は、電磁気学ではゲージ変換といって、この変換をすることで真空中の Maxwell 方程式は、
\begin{equation} \left( -\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2} + \triangle \right) A^\mu = -\mu_0 j^\mu \end{equation}
(30)
という非常に簡単な式で書けることが示されます[5]。 …というのはどーでもいいですね///
$\bm{A}$ を求めよう
それでは $\bm{A}$ を求めましょう。 ただし、上で述べたように、
\begin{equation} \bm{A} = \begin{pmatrix} A_x \\ A_y \\ 0 \end{pmatrix} \end{equation}
(31)
という形のものに限って議論します。
$\bm{B}=\rot\bm{A}$ なのでとりあえず (31)式の $\rot$ をとって、
\begin{equation} \rot \bm{A} = \begin{pmatrix} -\partial_z A_y \\ \partial_z A_x \\ \partial_x A_y - \partial_y A_x \end{pmatrix} \end{equation}
(32)
となります。 ただし、微分演算子 $\partial_x$ 等を、
\begin{equation} \partial_x := \frac{\partial}{\partial x} \end{equation}
(33)
などと定義します。
さてまずは、
\begin{equation} B_x = -\partial_z A_y \end{equation}
(34)
となって欲しいので、何か適当に、
\begin{equation} A_y := -\int_0^z B_x(x, y, z') dz' \end{equation}
(35)
としてみます[6]
同様に、
\begin{equation} B_y = \partial_z A_x \end{equation}
(36)
となって欲しいので、
\begin{equation} A_x := \int_0^z B_y(x, y, z') dz' \end{equation}
(37)
とおきたくなるところですが、こうしてしまうと $B_z \ne \partial_x A_y - \partial_y A_x$ となってしまうので、ダメです。
なのでとりあえず、
\begin{equation} A_x := \int_0^z B_y(x, y, z') dz' + f(x, y) \end{equation}
(38)
としてみましょう。 これならば、$B_y = \partial_z A_x$ は成り立っていますね?
そして最後に $f = f(x, y)$ を求めるために $B_z = \partial_x A_y - \partial_y A_x$ に今までの式を代入してみましょう。
\begin{align*} \partial_x A_y - \partial_y A_x & = -\int_0^z \partial_x B_x(x, y, z') dz' - \left( \int_0^z \partial_y B_y(x, y, z') dz' + \partial_y f(x, y) \right) \\ & = - \left(\int_0^z \left(\partial_x B_x(x, y, z') + \partial_y B_y(x, y, z')\right) dz'\right) - \partial_y f(x, y) \end{align*}
(39)
ここでいま、仮定から $\bm{B}$ の発散が 0 であること、
\begin{equation} \partial_x B_x + \partial_y B_y + \partial_z B_z = 0 \end{equation}
(40)
から、
\begin{equation} \partial_x B_x(x, y, z') + \partial_y B_y(x, y, z') = -\partial_z B_z(x, y, z)|_{z=z'} \end{equation}
(41)
が言えるので、これを使えば、
\begin{align*} \partial_x A_y - \partial_y A_x & = \left(\int_0^z \partial_z B_z(x, y, z)|_{z=z'} dz'\right) - \partial_y f(x, y) \end{align*}
(42)
つまり、
\begin{equation} \partial_y f = \int_0^z \partial_z B_z dz' - B_z \end{equation}
(43)
が言えます。
ここで、
\begin{equation} \int_0^z \partial_z B_z dz' = B_z \end{equation}
(44)
だから、
\begin{equation} \partial_y f = 0 \end{equation}
(45)
だ!!
…なんてしないでくださいね。
\begin{equation} \partial_z \int_0^z B_z dz' = B_z \end{equation}
(46)
は成り立っていますが、
\begin{equation} \int_0^z \partial_z B_z dz' = B_z \end{equation}
(47)
は間違いです。$B_z = x$ とかの場合を考えてみてください[7]
元に戻ると、
\begin{equation} \partial_y f = \int_0^z \partial_z B_z dz' - B_z \end{equation}
(48)
なので、
\begin{equation} f(x, y) = - \int_0^y \left( B_z(x, y', z) - \int_0^z \partial_z B_z(x, y', z)|_{z=z'} dz' \right) dy' \end{equation}
(49)
としてあげれば良さそうです[8]
答えは…
さて、長かったけど、やっと出ました。
\begin{equation} \bm{A} = \begin{pmatrix} \displaystyle \int_0^z B_y(x, y, z') dz' - \int_0^y \left( B_z(x, y', z) - \int_0^z \partial_z B_z(x, y', z)|_{z=z'} dz' \right) dy' \\ \displaystyle -\int_0^z B_x(x, y, z') dz' \\ \displaystyle 0 \end{pmatrix} \end{equation}
(50)
です!
なかなかフクザツな式ですが、実際にこれの回転を計算してあげると $\bm{B}$ になります[9]

2.4解の不定性について

さて、これで証明は終わりなのですが、スカラーポテンシャルと同様、こちらも不定性があります。
それを考えましょう。 やることはスカラーポテンシャルのときと同じです。
いま $\bm{A}$ というベクトルポテンシャルの他に $\bm{A}'$ というベクトルポテンシャルも見つかったとします。 すると両方とも回転をとれば $\bm{B}$ に一致するはずなので、
\begin{equation} \rot \bm{A} = \rot \bm{A}' \end{equation}
(51)
\begin{equation} \therefore \rot (\bm{A}' - \bm{A}) = \bm{0} \end{equation}
(52)
となります。
ここで、
\begin{equation} \Delta \bm{A} := \bm{A}' - \bm{A} \end{equation}
(53)
とおくと、
\begin{equation} \rot \Delta \bm{A} = \bm{0} \end{equation}
(54)
ですが、このときはスカラーポテンシャルで証明したことがそのまま使えて、
\begin{equation} \exists f, \Delta \bm{A} = \grad f \end{equation}
(55)
つまり、
\begin{equation} \exists f, \bm{A}' = \bm{A} + \grad f \end{equation}
(56)
が言えます。
また逆に、一番はじめの方でやったように、
\begin{equation} \forall f, \rot (\grad f) = \bm{0} \end{equation}
(57)
なので、任意の函数 $f$ に対して、
\begin{equation} \bm{A}' := \bm{A} + \grad f \end{equation}
(58)
はベクトルポテンシャルの要件を満たします。
つまり、以上から、ベクトルポテンシャルには、任意の函数 $f$ に関する $\grad f$ の不定性があることが分かります。
何か議論がループしているように感じた人がいるかもしれませんが、正しいです。 「ベクトルポテンシャルの不定性」のところで言ったのはこれと同じ議論なので、これはあの部分に書いた方がよかったですかね…。 計画性がなくてすいません ^^

[1]私のリサーチ不足だという意見は否定しません。というか載ってる本見つけたらおせーて (@[email protected])
[2]ここで $f_x, f_y$ は何かの函数です。具体形に興味がないのでこうおいてしまいました
[3]ここでも $A_x, A_y$ は何かの函数です。具体形に興味がないのでまたこういう風においてみた
[4]初めてこの議論を見た人は「なんじゃこれ!?」ってなったかもしれません。 ここではベクトルポテンシャル $\bm{A}$$\bm{B}$ で表した(50)式を求めるための議論の見通しをよくするためにこの変換をしただけなので、 本当はこんなことしなくても(50)式は求められます。 また、この変換をせずに、 $\bm{A} = (A_x, A_y, A_z)$ という形から(50)式になることを説明してみる、というのもおもしろいかもしれません。 どーしても分からない、という人は、とりあえずは、(50)式が確かにベクトルポテンシャルを与えている、ということが理解できればいいと思います。
[5]ここで $\triangle = \frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}$ であり、Laplacian と呼ばれます。また $A = (\frac{\varphi}{c}, A_x, A_y, A_z)$$j = (\rho c, j_x, j_y, j_z)$ であり、$\mu$ は添字です。また $A^\mu, j^\mu$ はテンソルと呼ばれるものです
[6]もちろん、このようにおいてうまくいくという保証もありませんし、$\bm{A}$ がこの形のもののみであるとは限りません。気になる人はいろいろやってみてね☆
[7]ちなみに私はこれをやってしまって、「あれっ!おかしいっ!計算合わないっ!」と一時間ぐらい悩んでしまったことは恥ずかしすぎて、絶対に口外できません
[8]ここでももちろん、f は x の任意の函数をくっつけてもいいのですが、今求めたいのはあくまでベクトルポテンシャルのうちの一つのなので、こうしてしまっても良いわけです
[9]疲れたのでこの計算は自習ということでw