$ \DeclareMathOperator{\arccosh}{arccosh} \DeclareMathOperator{\arcsinh}{arcsinh} \DeclareMathOperator{\rank}{rank} \DeclareMathOperator{\rot}{rot} \DeclareMathOperator{\grad}{grad} \DeclareMathOperator{\diver}{div} $

二重スリット実験

光の波動性を示す実験としてよく取り上げられる実験ですが、案外簡単に家庭で実験することができます。
紙を二重スリット代わりに用います。

1理論

すでに実験内容を知っていることとしますので、導出方法などの詳細は別の文献もしくはサイトをご覧ください。
スリットの間隔を $d$ 、スクリーンまでの距離を $l$ 、光源の波長を $\lambda$ とすると、 明線の間隔 $\Delta x$ は、
\begin{equation} \Delta x = \frac{\lambda l}{d} \end{equation}
(1)
となります。

2用意するもの

必要なものは、
  • レーザポインタ
  • [1]
  • 定規
  • カッター
  • カッターマット[2]
  • 2m 以上の幅がある、カーテンなどで遮光できる部屋[3]
この中で入手が難しいのはレーザポインタぐらいでしょうか。
今回は東急ハンズ横浜店で購入したレーザポインタを使いました。 購入したのはずいぶん前の話なのでちょっと覚えていませんが、たしか 5,000円 くらいだったと思います。
このためだけに買うのにはちょっと高い気がしますが、 普通に会議とかで指示用に使うレーザーポインタでおkなので、一本購入してみましょう。
ちなみにAmazonでも多数取り扱っているようです。
今回の実験で使用したレーザポインタ

[1]ノートの切れ端などの普通の紙で構いません
[2]無い場合には新聞紙を積み重ねたものなどで代用してください
[3]明線間隔が広くなるので部屋は大きい方がいいです

3準備

3.1二重スリットの作成

二重スリットを作成します。

3.1.1二重スリット用の紙片の切り取り

カッターを使って $3 \times 5\ \text{cm}$ 程度の紙を切り抜きます[1]
二重スリットにする紙片

3.1.2切り込みを入れる

今切り取った紙に縦に切り込みを入れます。
定規を当てながらカッターで 2cm 程度なぞり、さらにその上からもう一度カッターでなぞります。 一度だとスリットが細くなりすぎて光が通ることができなくなってしまうので二度以上なぞってください。
成功例
紙片に切り込みを入れたところ
こんな感じになります。 左においてあるのは $0.3\text{mm}$ のシャー芯です[2]
太すぎる場合
切り込みが太すぎる場合の例
二度目に切り込みを入れる際に、カッターが机と垂直でなかったり、定規をずらしてしまうと切り込みが太くなってしまいます(上図)。 全く同じ場所を、全く同じようになぞりましょう。

3.1.3スリットの状態確認

スリットが細すぎる場合があるので、蛍光灯などに紙片をかざして、光が通ることができるか確認します。
スリットの太さを蛍光灯にかざして確認する
細すぎてわかりにくいですが、隙間から光が漏れていることが確認できます。

3.1.4スリットをもう一つあける

一つ目のスリットがあけられたら一つ目と同様に、もう一つのスリットをあけます。
スリットとスリットとの間隔は極力狭めてください。 間隔が広いと明線と明線の間の間隔が狭くなり、実験結果が分かりにくくなってしまいます。
目安としては、 $0.5 \sim 1.0 \ \text{mm}$ の間隔で開けるといいでしょう。 狭くしようとしすぎると、二つ目のスリットをあけた時に一つ目のスリットがつぶれてしまうので、適当な間隔であけてください。
この作業は以外と難しいので、何回か作り直すことになると思います。
完成!
二本目のスリットをあけたところ
このようになったら完成です[3]
スリットを立たせる
ちなみに紙片下部の切り込みと折り目は、下の写真のように二重スリットを立たせるために施した小細工です。
二重スリットを立たせる
以上で二重スリットは完成です。

3.2スクリーンの設置

次にスクリーンを設置します。
…といっても壁に白い紙を貼るだけです。
簡易スクリーン
レーザポインタが中央に当たるように設置しましょう[4]
また、レーザは横方向に広がるため、紙も横向きに貼りましょう。

3.3レーザポインタの設置

3.3.1常にオンにする

レーザポインタのボタンを押しっぱなしにするために輪ゴムか何かでボタンを固定します。
レーザポインタのスイッチが常にオンになるようにする
レーザポインタの種類によってやり方が違ったり、そもそも輪ゴムじゃ無理かもしれませんので、その辺は臨機応変に。
なお、レーザ光が目にはいると大変危険ですので、
  • レーザポインタと壁の間には絶対に入らない
  • レーザポインタの方向には絶対に向かない
ようにしましょう。

3.3.2設置

レーザポインタ、および二重スリットを設置したところ
こんな感じになります。
レーザポインタの高さが微妙に合わなかったので定規を挟んで高さを調整しています。

[1]大きさは大体で構いません
[2]0.5mm ではありません
[3]蛍光灯にかざしているものとは別のものです
[4]レーザポインタと壁の間には絶対に入らないように。またレーザ側を見ないように。万が一レーザが目に入ったらとても危険です

4観察

4.1初号機

この時点で壁にうっすらとレーザ光が映っていると思いますが、よく見れるように部屋の電気を消し、カーテンを閉めて真っ暗にしてください。
すると…
結果①
結果②
こんな感じでおなじみの縞模様が見れるはずです。
本当はもっときれいなのですが、デジカメはこういうのに弱いのか、こんな風にしか写せませんでした。 こういう写真はやっぱり銀塩カメラの方がいいんでしょうかね…。

4.2弐号機

ちょっと間隔が狭すぎる感じがしたのでもう少しスリットの間隔を狭めてみたのが下の写真です。
結果 (二号機)
あんまし変わってないし!
なんか汚いし!
アスカはだめということですね、分かります。

5考察

折角ですので、最初にあげた(1)式から実験結果を検証してみましょう。
まず、レーザポインタに記載されていた波長は、
\begin{equation} \lambda = 650 \text{nm} \end{equation}
(2)
でした。
測定はテキトーですが、$l, d$ はそれぞれ、
\begin{equation} l = 250 \text{cm} \end{equation}
(3)
\begin{equation} d = 0.8 \text{mm} \end{equation}
(4)
でした。
また、明線間隔 $\Delta x$ は、
\begin{equation} \Delta x = 2.3 \text{mm} \end{equation}
(5)
でした。
しかし、上に挙げた $l, \lambda, d$ の値を(1)式に代入して $\Delta x$ を計算すると、
\begin{equation} \Delta x = 2.03 \text{mm} \end{equation}
(6)
となります。
うーん、結構ずれてますね。 でもまぁスリットの間隔は市販の安物の定規で、壁とスリットの間は両手広げて何個分か、とかで測った割にはいい値が出ていますね(ぉ