$ \DeclareMathOperator{\arccosh}{arccosh} \DeclareMathOperator{\arcsinh}{arcsinh} \DeclareMathOperator{\rank}{rank} \DeclareMathOperator{\rot}{rot} \DeclareMathOperator{\grad}{grad} \DeclareMathOperator{\diver}{div} $

連続の方程式

さて次に、質量保存則を表す連続の方程式というものを導きましょう。

1Lagrange 的発想から

密度が $\rho$ で体積が $\Delta V = \Delta x \Delta y \Delta z$ の粒子に注目すると、その粒子は時間変化に伴って位置や形を変えますが、その質量は変わらないはずです[1]
従って、
\begin{equation} \frac{D}{Dt}(\rho \Delta V) = 0 \end{equation}
(1)
が成り立ちます。
(1)式の左辺は、
\begin{eqnarray*} \frac{D}{Dt}(\rho \Delta V) & = & \frac{D \rho}{Dt} \Delta V + \frac{D \Delta V}{Dt} \rho \\ & = & \Delta V \left(\frac{D\rho}{Dt} + \frac{\rho}{\Delta V}\frac{D \Delta V}{Dt}\right) \end{eqnarray*}
(2)
となります。
さらに(2)式の第二項の部分は、
\begin{equation} \frac{D \Delta x}{Dt} = \Delta u_x \end{equation}
(3)
などに注意すると、
\begin{eqnarray*} \frac{\rho}{\Delta V}\frac{D \Delta V}{Dt} & = & \frac{\rho}{\Delta x \Delta y \Delta z} \left( \frac{D \Delta x}{Dt} \Delta y \Delta z + \frac{D \Delta y}{Dt} \Delta z \Delta x + \frac{D \Delta z}{Dt} \Delta x \Delta y \right) \\ & = & \rho \left( \frac{\Delta u_x}{\Delta x} + \frac{\Delta u_y}{\Delta y} + \frac{\Delta u_z}{\Delta z} \right) \end{eqnarray*}
(4)
となるので、(2)式のカッコ内に $\Delta V \rightarrow 0$ なる極限を考えると、
\begin{eqnarray*} \lim_{\Delta V \rightarrow 0} \frac{D}{Dt}(\rho \Delta V) & = & \lim_{\Delta V \rightarrow 0} \left( \frac{D\rho}{Dt} + \rho \left( \frac{\Delta u_x}{\Delta x} + \frac{\Delta u_y}{\Delta y} + \frac{\Delta u_z}{\Delta z} \right) \right) \\ & = & \frac{D\rho}{Dt} + \rho \diver \bm{u} \\ & = & \frac{\partial \rho}{\partial t} + \bm{u}\cdot\grad\rho + \rho\diver\bm{u} \\ & = & \frac{\partial \rho}{\partial t} + \diver(\rho\bm{u}) \end{eqnarray*}
(5)
なので結局(1)式は、
\begin{equation} \frac{\partial \rho}{\partial t} + \diver(\rho\bm{u}) = 0 \end{equation}
(6)
となります。 この式を連続の方程式(equation of continuity)といいます。

[1]核反応でも起こせば変わりますがw

2Euler 的発想から

上の連続の方程式ですが、Euler 的な発想からも導出することができます。 結果は同じなのでアレですが、上の導出方法はちょっと数学的で取っつきにくい感じがあるのに対し、こちらは直感的な感じがするのでわかりやすく感じるかもしれません。
連続体の中のある領域 $V$ について考えます。 上では連続体の移動とともに領域も移動させていましたが、今回は固定された領域を考えます[1]
さて、この領域内の総質量は時間とともに増減するわけですが、総質量の増加量はその領域に流入してきた質量と同じになるということがいえるのは直感的に明らかでしょう。
この条件を式で表してみましょう。
まず総質量は、
\begin{equation} \int_V \rho dV \end{equation}
(7)
なので、 $\Delta t$ 秒間での総質量の増加量は、
\begin{equation} \left( \frac{d}{dt} \int_V \rho dV \right) \Delta t \end{equation}
(8)
です。
次に領域 $V$ に流入してきた質量は、
\begin{equation} - \int_{S = \partial V} \rho (\bm{u} \Delta t \cdot \bm{n}) dS \end{equation}
(9)
ですから、結局求める条件は、
\begin{equation} \left( \frac{d}{dt} \int_V \rho dV \right) \Delta t = - \int_S \rho (\bm{u} \Delta t \cdot \bm{n}) dS \\ \end{equation}
(10)
\begin{equation} \therefore \frac{d}{dt} \int_V \rho dV + \int_S \rho (\bm{u} \cdot \bm{n}) dS = 0 \end{equation}
(11)
これも質量保存則を表す立派な方程式ですが、これだと積分形でちょっとアレなので微分形に直したいです。
まず、(11)式の左辺第一項については、積分範囲が時間非依存なので、積分と微分は順序交換ができて、
\begin{equation} \frac{d}{dt} \int_V \rho dV = \int_V \frac{\partial \rho}{\partial t} dV \end{equation}
(12)
とできます。
また、左辺第二項については、ガウスの発散定理を使えば、
\begin{equation} \int_S \rho (\bm{u} \cdot \bm{n}) dS = \int_V \diver (\rho \bm{u}) dV \end{equation}
(13)
と書けます。
従って、(11)式は、
\begin{equation} \int_V \left(\frac{\partial \rho}{\partial t} + \diver(\rho\bm{u})\right) dV = 0 \end{equation}
(14)
となります。 なんか見覚えがありますねw
今、領域 $V$ は恣意的に(勝手に)とることができるので、上の式がすべての $V$ に対し成り立つためには積分の中身が常にゼロでなければなりません。
\begin{equation} \frac{\partial \rho}{\partial t} + \diver(\rho\bm{u}) = 0 \end{equation}
(15)
はい、出ました。 連続の方程式です。

[1]Euler的な考え方を用いるので