$ \DeclareMathOperator{\arccosh}{arccosh} \DeclareMathOperator{\arcsinh}{arcsinh} \DeclareMathOperator{\rank}{rank} \DeclareMathOperator{\rot}{rot} \DeclareMathOperator{\grad}{grad} \DeclareMathOperator{\diver}{div} $

ガウス積分

1ガウス積分とは?

ガウス積分(Gaussian integral) [1] とは次式で表される積分のこと。
\begin{equation} I = \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} dx = \sqrt{\pi} \end{equation}
(1)
この積分は上式の通り$\sqrt{\pi}$になることが知られています。 以下でこの積分を計算していきます。

[1]この積分は正規分布や$\Gamma$函数など、さまざまな分野で登場する有名な積分。 なお、$e^{-x^2}$をガウス函数とい言いますが、この函数の原始函数は初等函数を用いて表せないらしいです。

2面積分を用いる方法

まずはガウス積分を計算する際、一般的に用いられる方法を使って解いていきます。
まず、
\begin{equation} J = \int_{-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty e^{-(x^2+y^2)} dx \right) dy \end{equation}
(2)
という積分を二通りの方法で計算します。 一つ目は、
\begin{eqnarray*} J & = & \int_{-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} \cdot e^{-y^2} dx \right) dy \\ & = & \int_{-\infty}^\infty e^{-y^2} \left( \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} dx \right) dy \\ & = & \left( \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} dx \right) \cdot \left( \int_{-\infty}^\infty e^{-y^2} dy \right) \\ & = & I^2 \end{eqnarray*}
(3)
です。
ところで$J$$xy$平面上の面積分に直すことができます。すなわち、
\begin{equation} r = \sqrt{x^2+y^2} \end{equation}
(4)
とおけば、
\begin{eqnarray*} J & = & \int_0^\infty \left( \int_0^{2\pi} e^{-r^2} \cdot rd\theta \right) dr \\ & = & \int_0^\infty 2\pi r e^{-r^2} dr \\ & = & 2\pi \int_0^\infty r e^{-r^2} dr \\ & = & 2\pi \left\{ -\frac{1}{2} e^{-r^2} \right\}_0^\infty \\ & = & 2\pi \left(0 + \frac{1}{2}\right) \\ & = & \pi \end{eqnarray*}
(5)
と計算できるので、
\begin{equation} I^2 = \pi \end{equation}
(6)
$I$が明らかに正であることから、
\begin{equation} I = \sqrt{\pi} \end{equation}
(7)
と計算できます。

3回転させる方法

本質的には上の面積分を使うものとは変わらない(たぶん)のですが、 少し見方を変えると面積分を知らない高校生でも解ける [1] ようになります。
まず、
\begin{equation} y = e^{-x^2} \end{equation}
(8)
で表されるグラフを、y軸の周りに一回転した立体(曲面)を考えます。 軸を適当に置き換えると、式は、
\begin{equation} z = e^{-(x^2+y^2)} \end{equation}
(9)
とできます。
この曲面とxy平面に囲まれた部分の立体の体積をこれまた二通りの方法で計算します。
一つ目。
z=(一定)で輪切りにして計算します。 z=(一定)で切ると断面は新円で、その半径は、
\begin{equation} z = e^{-r^2} \end{equation}
(10)
を逆に解いて、
\begin{equation} r = \sqrt{-\ln z} \end{equation}
(11)
なので、断面積は、
\begin{eqnarray*} S_1 & = & \pi r^2 \\ & = & - \pi \ln z \end{eqnarray*}
(12)
です。よって求めたい体積は、
\begin{eqnarray*} V & = & \int_0^1 S_1 dz \\ & = & - \int_0^1 \pi \ln z dz \\ & = & - \pi \left\{ z (\ln z - 1) \right\}_0^1 \\ & = & - \pi (-1 - 0) \\ & = & \pi \\ \end{eqnarray*}
(13)
となります。ただし、
\begin{equation} \lim_{z \rightarrow +0} z \ln z = \lim_{t \rightarrow \infty} - \frac{\ln t}{t} = 0 \end{equation}
(14)
を用いました[2]
二つ目。
今度はx=(一定)で切ります。 断面の式は、
\begin{equation} z = e^{-x^2} \cdot e^{-y^2} \end{equation}
(15)
ですから断面積は、
\begin{eqnarray*} S_2 & = & \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} \cdot e^{-y^2} dy \\ & = & e^{-x^2} \int_{-\infty}^\infty e^{-y^2} dy \\ & = & I e^{-x^2} \\ \end{eqnarray*}
(16)
です。これより求めたい体積は、
\begin{eqnarray*} V & = & \int_{-\infty}^\infty S_2 dx \\ & = & \int_{-\infty}^\infty I e^{-x^2} dx \\ & = & I \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2} dx \\ & = & I^2 \end{eqnarray*}
(17)
と出ました。あとは全セクションと同様の議論により、
\begin{equation} I = \sqrt{\pi} \end{equation}
(18)
と分かります。

[1]数学的な厳密さとかそこら辺に問題があるかもしれませんが…
[2]厳密な証明は省略させていただきます